サクラダリセット ep11
【资料图】
――03:15
野之尾:ところで。
春埼:はい。
野之尾:君は友達というのはどんなものだと思っているんだ?
春埼:いろいろ調べました。一緒に勉強をしたり、遊んだり、メールや長(なが)電話をする相手のようです。
野之尾:メールや長電話か。僕は君の連絡先を知らない。
春埼:どうすればいいですか?
野之尾:そうだな。じゃ、これに入れてくれ。春埼美空,美空っていうのか。
春埼:はい。これでメールと長電話は可能です。次は何をしましょう、一緒に勉強ですか?
野之尾:勉強は嫌だな。面倒だ。
春埼:では、何かをして遊びますか?
野之尾:私はただ座って話しをするのが好きだ。
春埼:はい。では、何について話しますか?
野之尾:君は何について話したい?
春埼:特にありません。
野之尾:君はいつも素直だな。
春埼:素直なことは問題ですか?
野之尾:基本的には美徳だろう。でも、たまには問題になる。
春埼:例えば?
野之尾:たとえば、君、私が好きか?
春埼:いえ、好きでも嫌いでもありません。
野之尾:とても素直だ。でも、その言葉は場合によっては人を傷つける。私はむしろその無礼のほうが気楽にと思っていいけどね。なんでも気楽なほうがいい。そうだな、私たちはくだらない話しをしよう。無意味で思わず眠くなってしまうようなただ心地よいだけの話しをしよう。
春埼:たとえばどんなものですか。
野之尾:そうだな。たとえば、世界で一番優しい言葉を探してみよう。
春埼:優しい言葉ですか。
野之尾:別に楽しい言葉でも嬉し言葉でもいい。なんでもいいから、今回は優しい言葉にしていこう。君にとって、世界で一番優しい言葉とはなんだ?
春埼;分かりません。
野之尾:では、もう少し具体的に考えてみよう。たとえば、一匹の痩せた猫が寒い夜に冷え冷え①としたアスファルトの上で眠るとして、とても疲れ果て腹を空かせていたとして、その猫を救えるような言葉が存在ずるのか?
春埼:きっと、その猫は苦しんでいる。求めているものは言葉なんかないだろう。ミルクと毛布があれば、その猫は救われる。言葉で猫が救われることなんてあるのだろうか。
野之尾:そんなに真剣に考えることじゃないさ。無意味な話しに答えなんてありはしないんだ。思い付くまま語ればいい。
春埼:では、貴方が求めているものを探してくると言います。
野之尾;うん?
春埼:たとえば、毛布やミルクをその猫のもとに持ってくると約束します。
野之尾:なるほど。約束は希望になる。
春埼:希望ですか。
野之尾:先に救えがあるのなら、猫は空腹と寒い夜にもう少しだけ耐えてみようと考えるかもしれない。猫も人も苦しみを耐えるために必要なものは希望だよ。
春埼:希望とは優しい言葉ですか?
野之尾:どうかな。もしかしたら残酷なだけかもしれない。翌日もその猫は腹を空かせて寒がっているかもしれない。だが相手に希望を与えようとする感情はきっと優しいだと思う。
春埼:そうですか。貴方にとって、最も優しい言葉とはなんてすか?
野之尾:たとえば、私の目の前に寒さに震えて、空腹に苦しんでいる猫がいったら、私は寒いし、腹が減ったなと言う。
春埼:それで猫は救われますか?
野之尾:そんなわけがない。何を言ったところで②、何も変わらない。でも少なくとも、私だって君と同じなのだと伝えることができる。
春埼:それを伝えてどうなるんですか?
野之尾:相手次第だよ。猫が餌を探しにいこうと言ったら、「よし、行こう」と答える。温かな寝床はほしいと言ったら、それを一緒に探しに行く。
春埼:猫が何も言わなかったら?
野之尾:私ももう何も言わずに隣で眠るさ。
春埼:もし恵なら…誠実な答えだと思います。
野之尾:誠実というのは?
春埼:現実を歪めず、素直に受け入れます。
野之尾:それは優しいのか?
春埼:私には分かりません。でも、この猫は多少なりとも③救われるように思います。
野之尾:それはよかった。
春埼:はい。
野之尾:でもな、実は私は言葉というもの、あまり信用していないんだよ。
春埼:言葉は信用できませんか?
野之尾:思っていることをそのまま言葉にすると、まったく別人の言葉のように思えてしまう。そいうのは少し気持ちが悪い。たとえば、私は猫を撫でるのは愛情表現だよ。でも、それと同じだけの愛情をどうすれば言葉で表せる?
春埼:分かりません。
野之尾:済まない、つまらないことを言ったな。
春埼:いえ。
野之尾:でも、だから私はくだらない会話を求めているんだよ。答えなんてあるはずもない、意味が正確でなくても誰も困らない、ただ心地よいだけの会話が好きなんだ。
春埼:そうですか。では教えてください。
野之尾:何をだ?
春埼:くだらない会話を、無意味で眠くなってしまうような心地よいだけの話しをする方法を。
野之尾:今君が話したのがまさにくだらない話しだよ。大丈夫、素質④はある。
春埼:それから、私たちは思い付くまま会話した。最近みた夢について、雲の形について、猫の肉球について、どれも意味を持たない、ただ言葉を交わすだけの、一晩眠れば忘れてしまうような会話だった。
春埼:私たちは友達になれましたか。
野之尾:どうかな。友人というよりはまだ知人の範囲にいるような気がするが。
春埼:そうですか。
野之尾:気が向けば⑤、またここに来ればいい。
春埼:それで友達になれますか。
野之尾:きっと一度話しただけでは知人だが、何度も繰り返せば友人だ。
春埼:そんなものですか。
野之尾:よく知らないが、そんなものだと思うよ。それに私は割と気に入っている。そのうち友人らしくなるさ。
春埼:実は不安だったのです。私は今まで友達と呼べる相手は一人だけしかいませんでした。
野之尾:一人?それは浅井か?
春埼:いえ、違います。
野之尾:そうか。
春埼:はい。恵は友達というカテゴリーとは違う気がします。次は三月堂のシュークリームを持ってきます。
野之尾:あ、待っているよ。
春埼:はい。
春埼:こうして私の友達を作る計画は始まった。結果が出るのはいつになるかまだ分からないけれど。
➀冷え冷え「ひえびえ」:冰冷
②たところで:表转折,无论;即使
③なりとも:至少;最起码
④素質「そしつ」:天分
⑤気が向く「きがむく」:心血来潮
从某一方面说,这也算是春埼的成长。
她的情感在本话的后半段可以很明显地表现出来,但是因为显得琐碎就没有做这部分的日语。
这一话的标题是“某日的春埼同学”,没有比这更恰当的标题了。